オフィスの華には毒がある

「こういうとこでデートとかもなんだか穏やかでいいねー!わたし、もう、バーをはしごするとかそういうの、いいかも」


手作り作家さんのブースを覗きながら結香が言う。


「あ、かわいー!それ」


結香の手にとっているアトマイザーに思わず目が行く。


シンプルながらも、凝った布製リボンが巻き付くようにデコられていて、凄くかわいい。


「こちらの、ワークショップでアロマスプレーを作ってそのアトマイザーに入れられますよ」


にこにことしたかわいらしいお姉さんが声をかけてくる。(お姉さんと言いつつも多分年下)


結香がやろうやろう、と食いつくので、二人で木製スツールに腰掛け、説明を聞くことにする。

何本も持っているから、この香りはどんな効能があって……というお姉さんの説明に、結香ほど真剣になれず、なんとなーく辺りを見回す。