『………やだ………』
彼の心臓の音がする。
規則正しい、その音に包まれながらも私はそう答える。
『なんで?』
『……次に恋をするなら、私を一番にしてくれる人としたいから。
100%想い合ってる、そんな恋がしたいから…』
『冬香ちゃんのその恋、俺なら叶えられるけど?』
私よりも背の高い彼が今、どんな顔をして、こんなことを言ってくれているのかは分からない…
『無理……
だって、土屋君も私以外の女の子といる方が楽しそうだもん…』
彼の顔が見えない、だから本音を話す。
こんなことを言えば、彼は私を好きだと言ったことを撤回するかな…?
重い女だって、そう離れていくかな…?
『冬香ちゃん、俺のこと好き、でしょ?』
彼のその問いかけに私は顔を上げ、彼の顔を見つめる。
『好きだから、
独り占めしたくなるし、不安になるんじゃない?
そうやって相手を想って泣くんじゃない?』
………見つめあった、彼との目。
私は離すこともなく、彼の言葉を聞いていた。
『認めてよ?
俺のことが好きだって。
そうしたら俺が冬香ちゃんのしたい恋、
全部叶えてやる』
彼はそう言って、優しく微笑んだ。

