そこには、彼が立っていたー…
『冬香ちゃんさ、新しい断り方なんて考えなくていいから』
そして、彼はその口を開き、そう言ってくる。
『……なんで泣いてんの?』
彼は真剣な顔でそう問いかけてくるけど。
答えられるはずがない。
だって、私も君が好きだから、そう告白する?
君の“好き”が聞きたい、そう彼に頼む?
そんなの出来るわけがないー…
『冬香ちゃんはバカなことにしか泣かない。
冬香ちゃん、もう少し自分の気持ちに素直になれば?』
『……バカって……』
『だってそうじゃん?
ハルを想って、ハルの背中を押して、陰で泣いて…
そんなことすんならさ、ハルの手を離さなければ良かったじゃん』
そうだよ…
彼の言うとおり、強がりました…
だって、潔く別れを切り出さなかったら、ハルを傷つけてしまう、そう思ったんだもんー…
だから、一生懸命笑ってバイバイしたし、ハルが居なくても大丈夫だって強がった…
でも、でも…
『冬香ちゃんは本当にバカだよね。
だから俺は冬香ちゃんをほっとけなくなるんだ…』
そう言って、彼は少しずつ私の傍に寄ってきたー…
『俺、冬香ちゃんの泣いてる顔も無理して笑う顔も全部が愛しい。
冬香ちゃんが強がってる姿も、恋してる姿も全部好き。
だからさ、もう俺にしなよ?』
彼の最後の言葉を聞く頃、私は彼の胸の中にいたー…

