姉弟ものがたり


布巾をいじくりまわして所在無さげに視線を彷徨わせていると、優が止めていた手を動かしてテーブルに夕飯をセッティングして行く。


「何があったか知らないけど、そんなの俺より先に姉ちゃんだろ」


言われた意味が分からずに首を傾げていると、いじくりまわしてくしゃくしゃになった布巾を取られキッチンに下げられる。
その姿を見送ってぼーっと突っ立っていると、今度はご飯と味噌汁のお椀を持って優が戻って来た。


「独り立ちするのも、結婚するのも、普通に考えて姉ちゃんの方が先だろ」


次第に整っていく夕飯のテーブルを眺めながら、優の言葉を頭で反芻してみる。


「そりゃいつかは俺だって独り立ちするよ。
でも別に今すぐじゃない、いつかはってだけの話」


優の言葉に、顎に手を当てて考える。


「ってことは……」


そこでひらめいた結論に、満面の笑顔で頷くと天井に向かって大きく手を伸ばして声を上げた。