どれもこれも素晴らしくて、尚更学生時代に数々の伝説を作り上げた作品を観られない事が悔やまれた。
いつか、自分も……そんな思いが、自然と語り口を熱くさせる。
「映画、楽しみだね!ゆうくん」
声のした方に視線を動かせば、人の気も知らないで脳天気に笑う遥の姿があって、不思議と気持ちが落ち着く。
けれど、それがなんだかしゃくな部分もあるから、ついつい何か言ってやりたくなる。
「ポップコーンはなしだからな」
「ええー!!」
目に見えて落ち込む遥に、僅かに口元が綻ぶ。
時刻はまさにおやつの時間、何か小腹を満たすものが欲しくなる遥の気持ちも、わからないではない。
「一番小さいやつなら、許してやるか……」
誰にも聞こえないように、特に遥には気づかれないように小さく呟いた言葉に、堪らず自分で苦笑する。
なんだかんだで、つい遥を甘やかしてしまうのは、悪い癖だ。
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