「聞いた話だと、どの作品も生徒が自主制作したとは思えないくらい本格的で、学祭で上映すれば講堂に入りきらないくらいのお客が殺到してたって。それに、合宿と称して部員と機材を引き連れて、どこにでも撮影旅行に行ったってのも有名な話みたいです。作品作りにかかるもろもろのお金は、学業そっちのけでバイトしたお金で賄っていたそうで。よく留年せずに卒業できたもんだって、先生達も驚いていたって先輩が言ってました」
その先輩も当然直接は会ったことがないから、全部前の先輩達から聞かされた話だと締めくくっていた。
もしかしたら、伝えられていくうちにいくらか誇張が入ったりしているのかもしれないけれど、それでも話を聞いた後輩達は皆、写真でしか見たことのない大先輩に思いを馳せずにはいられない。
「優くんは、本当に好きなんだね。その監督さんが」
学の柔らかい声と眼差しに、照れくささから苦笑する。
「すみません……なんか、一人で盛り上がっちゃって」
学生時代にその人が作った作品は、上映のされ過ぎと保存状態の悪さから、今ではもう観ることができない。
けれどプロになってからの作品は、全て映画館で観ている。



