「でもさ、やっぱりあったほうが盛り上がるよね?映画だって、倍は面白くなるよ!」
「何にもなくても、面白い映画は面白い」
「……ゆうくんのわからず屋!」
「姉ちゃんこそ、わがまま言って学さん困らせるなよ」
せっかくのデートだというのに、恋人同士で並ぶこともなく、遥は子供のように駄々をこねながら優の隣を歩き、学はその後ろをのんびりと付いて歩きながら温かい眼差しで成り行きを見守っている。
「そう言えば、これから観る映画、遥ちゃんは好きな女優さんが出るって言っていたけど、優くんはどうして気になっていたの?」
げんなりした顔で遥の子供じみた言い分を聞いていると、やや強引にではあるが、学が助け舟を出すように話題を変えた。
おかげで遥は一旦口を閉じ、後ろを振り返って学に視線を移す。
強引だろうがなんだろうが、遥の意識が再びポップコーンに支配される前に、優はその話題に乗ろうと口を開く。
「俺は」
「ゆうくんは、監督さんが好きなんだよ!」
上機嫌で放たれたセリフは隣から。



