「姉ちゃんが言った通り、ずっと観たかった映画なんです。でもあれ、男が一人で観るにはちょっと……難易度が、高いっていうか」
「カップルで観ると盛り上がるって話題の、恋愛ものだもんね」
申し訳なさそうに眉を寄せていた学の顔に、穏やかな笑顔が戻ってくる。
はっきりとキャッチコピーを口にされると、何だか無性に恥ずかしい。
「良かったよ。もし、何か他に予定があるのに、無理させたんだったらどうしようって心配だったんだ。優くん、名前の通り優しいから、予定があるって言い出せなかったのかもしれないなって思って」
学のホッとしたような笑顔が、何だかくすぐったい。
彼女である遥はもちろんの事、その弟である自分の事も、同じくらい大切にしてくれているのが伝わってくるから、くすぐったくなるくらいに嬉しい。
「それを言うなら僕の方が、せっかくのデートを邪魔しちゃって、すみません。でも、誘ってくださって、本当にありがとうございます」
だから、そんな嬉しい気持ちをいっぱいに込めて、丁寧に頭を下げる。
「邪魔だなんて思ってないよ。僕も、遥ちゃんもね。だから優くん、そんなにかしこまらないで」
そうっと顔を上げてみると、目の前で学が困ったように笑っていた。



