「そうだね!ゆうくんを一人で残していくのはお姉ちゃんとして心が痛むし、それにゆうくんも観たがっていたやつだから、丁度いい」
どの口が姉として心配だなんて抜かすのか、問いただしてやりたいところだが、今はそんなことで喧嘩をしている場合ではない。
それに、彼氏とのデートに弟がくっついてくるかもしれないこの異常事態に、“丁度いい”はないだろうと思ったが、遥はいいアイディアだと言わんばかりに笑顔で頷いている。
「いや、だから!」
このままだと知らないうちに話が決着してしまいそうだったので、慌てて声を上げると、優しげな学と楽しげな遥の二つの視線が一斉に優を向く。
「ゆうくんがずっと観たがっていた映画だよ?」
「僕達と一緒だと嫌かな?」
屈託のない二人の視線がビシビシ突き刺さり、いつの間にかNOとは言えない空気が漂い始める。
純粋な好意は、断るのに勇気がいる。



