姉弟ものがたり



「一緒に行ったっていうか……姉ちゃんが突然泣きながら、“ここどこ!!”って電話かけてきたんですよ」


遥が“しまった!”とでも言いたげに表情を変えるが、もう遅い。

ほとんど同時に学が小さく吹き出したことで、たちまち遥の頬が赤く色づいていく。


「ちょっとゆうくん!!それは、誰にも言わないって約束」

「してないよな」


元はといえばその話題を振った遥が悪く、こちらには全く非がないので、言い終わるか終わらないかのうちに即座に言い返してやると、遥の頬が今度は子供っぽくぷくっと膨れた。


「やっぱりね。優くんが一緒に行ったなら、たどり着けないはずないって思ったよ」


一人納得したような学の声に、遥は不服そうにそちらを見やる。


「ゆうくんがいなくても、一人でたどり着けるよ!!」

「実際、一人で行けなかっただろ」


ボソッと呟いてみれば、遥の凶悪な視線が今度は優に向いた。


「それで、結局なんて言う名前のお店だったの?」


学が、逸れた話を本題に戻す。