姉弟ものがたり


ファンシーなくまのキャラクターが描かれたガラスのコップにオレンジジュースを、沸いたお湯はコーヒーの粉末が入ったカップに注ぎ入れ、オレンジとコーヒーの匂いが交じり合うキッチンで顔を上げると、仲睦まじく隣り合う二人の姿が目に入る。

ノンフレームの眼鏡の向こう、優しく目を細めながら遥の話に耳を傾ける学の姿に、思わず頬が緩む。

何とも言えない、幸せな光景だ。


「そういえばこの前ね、友達がお勧めだよって教えてくれた喫茶店に行ってみようと思ったんだけど、道がよくわからなくて結局たどり着けなかったんだ」

「へー、何て名前のお店なの?」

「えーっと、なんだったけ……なんか聞いたことない外国語だったんだけど」


顎に手を添えて唸る遥の前にオレンジジュースの入ったコップを、その隣に座る学には湯気を立てるコーヒーのカップをそれぞれテーブルに置く。


「ねえねえゆうくん、あのお店、なんて名前だったっけ?」

「えっ……優くんも一緒に行ったの?」


突然話を振られて優が顔を上げると、遥は助けを求めるように、学は驚いたような表情でこちらを見つめていた。