「おはよう。海兄」
「おう。荷物はもう送ったからな」
「知ってる」
朝起きると、足元に置いておいた筈のスーツケースが無かったものね
「今日は送っていく。久し振りにバイク乗せてやるよ」
「…ありがとう。いつぶりかしら、海兄のバイクの後ろに乗せてもらうのは」
「時間があるからな。凰乱まで乗せて、捕獲庁まで行くには十分時間がある」
「…そう」
朝ご飯はいつも食べない
海兄はいつも珈琲だけ
私もココアだけを飲む
「…制服、可愛いわね」
「…殆ど着る時はないそうだ」
「……え?」
「詳しいことはあっちで聞け。俺も詳しくは知らん」
「…うん…」
コトリ、とマグカップを置き、椅子から立ち上がる
自分用のマグカップはもう荷物の中
今日は家族兼用のを使った
流しに置いて、自分の部屋に入る
クローゼットの中の真新しい制服を見て、小さな溜息をつく
そこにはもう、以前通っていた学校の制服は無く、凰乱高校の制服が入っていた
白のカッターシャツに赤と黒のチェックのリボン
ワインレッドのブレザーに
リボンと同じ柄のスカート
茶色のローファー
リボンの結び目とブレザーの胸ポケットには、橙色の鳳凰と黄色のOとRの文字
制服は確かに可愛い
それでも、今までの物のほうが可愛い
ゆっくりとクローゼットから制服を取り出し、袖を通す
今までとは違う感触
転校初日から、パーカーを羽織る訳にはいかない
…そのうち、慣れるわよね
ふと、鏡の中を見れば、ワインレッドのブレザーに白銀の髪が良く映えていた
その鏡の中を一瞥し、鞄と黒のマフラーを持ち、下に降りた
