【完】翼をくれたキミ

「…」



あたしは何も言えなかった。



『ありがとう』



とも



『ごめんね』



とも



『話せる時が来たら話す』



とも何も言えなかった。



「今日はここまでにするか。送ってく」



隼斗はそう言ってあたしにメットを渡してきた。



そこには悠李よりも遥かに大きいバイクがあって。



乗れるかな…。



あたしは頑張って跨がろうとする。