【完】翼をくれたキミ

『お父さんとあたしはあんたが居るから別れたんだよ』



小さい頃、いつもそう言われ殴られ続けた毎日。



物心ついた時からあの人の周りには男がいっぱいいた。



毎日、違う男を連れてきて聞きたくもないあの人の喘ぎ声が聞こえてきて吐き気がするほどだった。



本当に死んでしまいと思ったのは中学一年生の頃。



手首を切って死のうとした。



でも、死ねなかった。



『なんで…、なんで死ねないの…?』



その日は泣きじゃくったのを今でも鮮明に覚えている。