しばらく待っても、鬼羅は戻っては来なかった。
仕方なく部屋を後にする。


トボトボと歩く帰り道。
なにを間違ってしまったんだろう。



鬼羅と仲良くなりたいと思えば思うほど、鬼羅は遠くなっていく。




初めて外の世界で知りあった人なのに。
見た目でいえば、同じくらいの年ごろに見える初めての・・・。





「ちぃちゃん!」




突然空からすとんと千代の前に降り立ったのは、琉鬼だ。
いつも突然どこからか降ってくる彼に、千代は目を丸くした。




「琉鬼さま!今日はもうお会いできないかと・・・」

「鬼羅とは別行動だったからね」

「鬼羅は・・・、ケガをして帰ってきたのです」

「鬼羅に会ったんだ。そっか・・・。鬼羅の血の匂いがしたから帰ってきたんだけど・・・。そしたらちぃちゃんの匂いがして」

「匂い・・・」




嗅覚が人より優れているんだろうかと千代は思う。
それが、人と鬼の違い?