「俺は仕事に戻る。お前も早く朝餉を食べて来い」 「分かりました。ありがとうございました」 一礼した桐谷の後ろ姿を見送り、仕事に戻った。 俺は何をしているんだろうか。 見張りをしている内にあいつの色々な顔を見ている。 笑う顔、怒る顔、泣く顔。 あいつ色々な顔を見るたびに俺の心は揺れ動く。 これじゃまるで桐谷のことが好きみたいじゃないか。 何度も違うと言い聞かせ、仕事に集中することでその思いを振り払った。