「いい機会だから言おう」 土方の口がやけにスローモーションに見える。 聞きたくない。 知りたくない。 だってあなたが口にする名前はきっと私じゃないから。 そう思うと自然と頭が下がり俯く。 「俺は……俺はお前が好きだ、桐谷」 その言葉で頭を上げた。 土方の顔は真面目そのものだった。 また鼓動が速くなる。 苦しい。 信じてしまう。 土方だから信じてしまう。 裏切られて信用しないって決めていたのに。 私は……。