一瞬、意味が分からなかった。

だって、こんなの。


「は…何それ」

「もう…絢莉とは付き合えない」

「何で…?」


そんな、ハイそうですかで別れられるわけないじゃない。

私はまだ剣人が好きなのに。

「私のこと、嫌いになった…?」


恐る恐る尋ねると、剣人はかぶりを振る。


「じゃあ…じゃあっ、なんで…?私が、」

やばい。混乱してる。

ここで泣いたら負けだ、と歯を食い縛る。


「絢莉」

「私が馬鹿だから?剣人と同じ高校に行けないから?ランクに差があるから?」

最後の言葉に剣人が反応した。

「そうなの…?」

周りの空気が急に冷えた。

寒い。寒いよ。


「私が剣人より馬鹿、だから…嫌になったの?」

「違う、」

「じゃあ何だっていうの?」

「さすがに、秀明と秋月じゃ…レベルが違いすぎるって」


絶句、した。


秋月は私の高校の名前だ。

何だそれ。

傷つく半面、呆れている私がいる。

私はもっと強固なもので結ばれていると思っていた。

離れても大丈夫だって安心してた。

だけど違った。

問題はそれ以前のことだった。

剣人には自分より下のランクの女は論外だったんだ。

それは、単に中学だからこそ曖昧になっていた事が今明らかになったというだけのことで。

バカみたい。

だったら何で今日フッたの?

いくらでも時間あるじゃない?

そんなに私と離れたくて、────ああ、そういうこと。