兵士の手から矢が放たれた。矢は彼女目掛けて銀色の光を放ちながら飛んでいく。



矢は彼女の肉を貫き彼女の命を奪う……はずだった。


目標を失った矢は空を切って木に刺さる。その異常な光景に兵士は思わず目を見張った。


先程まで空を見上げていた無防備な女はもうどこにもいない。


兵士は茂みから立ち上がり辺りを見回すが、やはり誰もいない。さらによく確認しようと先程まで女が立っていた所まで小走りにやって来た。

兵士のその安易な考えがいけなかったのだろう。