庸介がニヤリといやらしく笑うのを見て恭時は、とっさに身を引いた。
この笑顔を見たときに限ってもう碌なことが無い。嫌な笑みだ。
「先程の兵士とのやりとり……少し傷心中なのでは?」
「‼」
恭時の眉がピクリとはね上がる。その反応に庸介は更に笑みを深くするが、逆に顔には出さないものの自分自身の反応に再び苛ついてしまったらしく、およそ手まである(実際は手首まででその先は白い革製の手袋をつけている)黒地の長袖を纏った腕を頭まで持ち上げグッと力をこめた。
これは彼の幼少の時からの癖で、だいたい平静を保とうとするときや何かを我慢するときによく見られるものだ。当然、その幼少時を知っている庸介には何もかもバレバレではある。
「あいかわず君は面白いですねぇそういう反応が返ってくるから、いちいち構ってしまうんじゃないですか」
「余計なお世話です」


