意識していなくとも勝手に声に苛立ちが混じる。のどから出てくる声に自然と力がこもるのだ。
その事が恭時を更に苛立たせた。こいつの前でだけはどうにも平静を保つ事ができない。
そんな恭時の心の内を知ってか知らずか、鵬咲庸介(ほうざきようすけ)は、眼鏡の奥の一重の瞳をニィっと面白そうに歪ませた。
イヤ、この顔は確実に分かっている顔だ。頭の中で長年つちかってきた経験から勘がそう言っている。
「姫様は龍堂様の元にいらっしゃいます。先程来たばかりなので今からでも十分間に合う事でしょう」
「そうですか……報告、感謝いたします」
「あぁそれと」
「はい?」


