「姫様がどこに居るか、知らないか?」
「姫君、ですか?」


はて?兵士二人は首を傾げた。確かに自分達は姫君がまた、戦場に出たと言う噂話を耳にしてそれをきっかけに陰口と言われても仕方の無いような事を話してはいたが、自分達の目でその渦中の人物を見た覚えはとんと無い。


「先程弥生(やよい)から姫様が帰って来られたと連絡が来てな、この辺りを通ったのではないかと思って来たのだが……」


兵士二人は顎に手をやり思案する目の前の上官を見ながら首をまた傾げた。
この場所は、戦場から帰って来た者達が確実に通る広場のような所でここを真っ直ぐに行けば真哉家の幹部達がいる場所にぶち当たりさらに真っ直ぐ行けば大将が鎮座する一角に行ける。報告などをする場合はほとんどが通る道だろう。

まぁ勿論報告を目的とした通路では無いからそんな事は滅多に無いのだけれど。