雨に似ている  (改訂版)

喘ぐように息をつきながら、胸にあてた手を更に強く胸に押しあてた。


「ねえ。あなた、どこか悪いの?」


「……君には関係ない」


郁子は、唖然とした表情を詩月に向ける。


「……何をポカンとしている?」

詩月は苦しげに顔をしかめながら、郁子に言う。


「だって、あなた度々……辛そうにしてるんですもの。
それに転入以来、ずっと体育も見学しているでしょ?
留学を辞退したのは、ショパンが弾けないからだけではなく、何処か悪いから?」

詩月は、小さく溜め息をつく。


「……どこが悪いかなんて君には関係ないし、ショパンが弾けないからとかも、君には関係ない。留学辞退の理由を話すつもりも……ない」

詩月は肩で息をつき、胸に手をあてたまま、辛そうな声で言う。


「周桜くん!?」

詩月が息をつくたび喉の奥で喘鳴が聞こえる。

肩が忙しくゆれる。