雨に似ている  (改訂版)

彼らは詩月に気づくと、すれ違いざま、どちらともなく「『モルダウ』へ寄るなら、一緒に」と声をかけた。

詩月は「どうも」とこたえ、微かに笑みを浮かべてみせる。

ゆっくり歩く詩月。
彼らと足並みが合わない。

歩くそばから1歩2歩と遅れ、直ぐに数歩差がつく。

郁子が振り返って後帰り、傘を傾け「気を遣わなくていいわよ」と声をかける。


「別に遠慮しているわけでは……」


詩月はポツリ言いかけ、言葉に詰まる。


「ん、何か言った?」


「いや、気にせず先に行っていい」


詩月は待たせるとか、歩調を合わせられるのが億劫でそう言ってみる。

郁子は詩月が毎回、体育の授業を見学しているのを思い出し、すまなさそうに頷く。


「先に行っていいって」

詩月は郁子が貢に駆け寄りながら、話す声を聞き、小さく溜め息をつく。