雨に似ている  (改訂版)

詩月は母親の迎えまで、まだ少し時間があるのを確認し、カフェ・モルダウに足を運んでみようと思った。

ゆっくりと、正門に向かって歩く。

後方から学生の話し声がする。

甲高い声と少し低い声。

詩月は聞き覚えのある声に振り返る。

――緒方、それに安坂さん?


この2人は大抵いつも、一緒にいるよなと思う。

郁子と貢は部活も同じで、詩月は実際、一緒でないのを授業中以外に見たことがない気がする。

転入間もない頃。
クラスの女子が噂していたのを、ふと思い出す。

放課後に2人が度々、練習室を借りているが、まともに練習しているのかどうか定かではない。

もしかしたら……なんて下衆な勘繰りだった。

詩月は馬鹿馬鹿しくて、途中から聞く気になれなかったが……。

どちらかと言えば、積極的なのは貢だと思っている。