雨に似ている  (改訂版)

理久は乱れた制服を適当に整えながら、背を向け片手をあげて飄々と歩いていった。


放課後。
詩月は師事している教授に呼び出され、教授の元に向かう。

編入以来。
幾度も教授に呼び出され毎回、コンクールへの出場や留学を墾々と勧められる。

詩月は適当に聞き流し断ったり、返事をずっと先伸ばしにしたりしている。

詩月が返事を濁すたび、教授が苦い顔をする。

詩月は「すみません」と詫びを入れるたび虚しくなる。


――自分の演奏に自信がない。自分の音がわからない。
演奏家志望としてどうなんだ?

詩月は呼び出されるたび、自問自答し、資質までも問われている気がする。



――心に靄がかかっている。青空が見えない。
心に薄暗く、灰色の空が広がっている


詩月はそんな気がしてならない。