雨に似ている  (改訂版)

詩月は理久と2人で歩いていると、芸能プロダクションのスカウトマンに呼び止められることもある。


なのに、理久本人には全く自覚がない。

詩月は理久が、制服のタイをしてるのを見たことがない。

その上、理久はひどい時にはシャツのボタンをかけ違えている。

寝癖をつけた髪のまま、平気で登校していることも度々だ。

――たぶん、親友の安坂さんは正反対のタイプだろう

詩月は思う。


「気分が悪くなったら、我慢するなよ。
ちゃんと医務室にいけよ。いいな」

理久は階段を上りながら、詩月に言う。


――そんなこと、一々言われなくても解ってる


詩月は反発しつつ、言葉を飲み込む。

すれ違う学生達の視線を浴びながら、理久の背中に体を預け、2階にある教室の前で、詩月はようやく下ろされる。


「ありがとう」


「おう!」