雨に似ている  (改訂版)

――鯨魚取り海や死にする 山や死にする 死ぬれこそ 海は潮干て山は枯れすれ


「万葉集の1首、無常を詠んだ歌」だと知る。

長崎県出身の男性歌手が、この1首をモチーフにして作詞作曲した歌は、映画の挿入歌にもなった。

映画は日露戦争の旅順攻囲戦、二百三高地の日露両軍の攻防戦を描いた作品――反戦映画だ。

貢は歌の歌詞も検索してみる。

戦争の悲惨さと反戦を描いた映画に、命の儚さと尊さを歌った歌詞が切々と胸に迫る。

貢は何と壮大な1首に歌詞だろうと思う。

地球規模の自然を擬人化し、「海は死んでしまうのか。山は死んでしまうのか」と詠んだ防人は、どんな心境だったのかと。


「何のために生きるのか。何を成すために生きているのか」を問われている気さえする。

貢は胸にこみ上げてくる虚しさに、拳を握りしめる。