雨に似ている  (改訂版)

「コンクールの後……僕のショパンは……」

詩月の声が掠れ、言葉がもつれる。


「……自分の演奏に……ウンザリする……周桜宗月は……2人いらない」

息が乱れ、額にうっすらと汗が滲む。


「……ショパンは人前で弾かない……弾きたくない……」

詩月は話しながら、胸に手を押しあて、辛そうに息をつく。

詩月の呼吸が少しずつ乱れ始める。


「……この間は……君のリクエストに応えて……仕方なく弾いたが……ツッっ…」

詩月は、胸に当てた手を、制服ごと握りしめ、強く押しあて顔をしかめた。

詩月の呼吸が激しく乱れ、息遣いが浅く速くなる。

詩月の顔からあっという間に、血の気が失せた。

詩月が手にしていた楽譜が、バサバサと音を立てて、床に散乱する。


「周桜くん?」

詩月を呼ぶ郁子の声は、悲鳴に近い。


「おい、周桜!?」