雨に似ている  (改訂版)

「ショパン作曲『雨だれ』」肺の病に冒され余命いくばくもないと悟ったショパンが、嵐の夜。

重く暗い闇に不安を感じながら、最愛の人ジョルジュ・サンドを思いつつ、彼女の帰りを待ちながら奏でたと言われる曲。


ーーこれが周桜詩月の「雨だれ」

郁子の胸が、父親の呪縛を解き放たれ堰を切ったように奏でられる詩月のピアノの音に、心が掻き立てられ熱くなる。

ただ暖かいだけではなく、ただ激しく窓を打つ雨音でもない。

優しさの中に凛とした強さがあり、包みこむ暖かさの溢れた深い音色だ。

ピアノを弾きたいという、祈りと決意をこめた熱い思いさえ伝わってくる。

ピアノへの思いも夢も希望も心肝に染め抜いたような、詩月の祈りがピアノの音に宿る。


詩月の奏でる「雨だれ」から伝わる詩月の意志が伝わってくる。

生への渇望と不安、常につきまとう闇との葛藤を胸にしながらも尚、勇気を出して今、生きていることを慈しむように紡ぎ出される音。


郁子の目に涙が溢れ詩月の姿が、涙に滲んだ。