【好きだから別れて】

途切れず悠希が送ってきたメールが更に衝撃的で。


生唾を飲み、表示されてるメール文を食べてしまう勢いで見いる。


『俺も会いたい。最近運転中に歩らしき人見かけたよ。場所は初めて行ったカラオケ屋の近く。ピンク系の服着て髪長かったんだけど違う?』


それ、あたし。


近くで見かけたんだ…


窓ガラス一枚を挟んですぐそこにいて。


手を伸ばし抱き締めてしまいたい悠希の姿を見逃していたなんて…。


悔し過ぎて携帯を握る手はメールを送信してるのに、力が入っていた。


『それ歩じゃないよ!勘違い!』


嘘をついた。


確かめたかったんだ。


時がたってもあたしを忘れてないのか。


悠希の中にあたしは生きているのか知りたかったんだ。


メール受信:悠希


『ウソだ!あれは歩だ!絶対間違いない!』


悠希はあたしを忘れてなんかいなかった。


悠希はしっかり覚えててくれてた。


「歩」という人間を忘れてなどいなかった…


「悠希ぃ…会いたいよ」


どこにいるかわからない悠希を求め、あたしは感情を持たない携帯を抱き締めた。