【好きだから別れて】

幼少期。


父・母・兄・姉、家族五人でわけもわからずクリスマスをしていた。


保育園の時。


父がいつも帰ってこなくて、家にいないから四人でクリスマスを過ごした。


小学生の時。


年の離れた兄、姉が突然いなくなって母と二人きりでクリスマスをしていた。


中学生。


ケーキはあっても家族は誰もいなくて、テレビ相手に一人で過ごした。


高校。


クリスマスなんて忘れて悪さばっか。


サンタ狩りなんて犯罪まがいのふざけた遊び。


大人になるにつれて人数は減っていったから。


だからあたしはクリスマスなんてしなくていいの。


みんな消えていくんだもの。


クリスマスがくるたび寂しくなってく気がするからさ。


だんだん関わる人があたしの前から消えていくなら、クリスマスなんてしたくないんだよ…


小学生の時、友達から「クリスマスはおねだり出来るチャンスじゃん。何をねだるの?」んて聞かれた時


不愉快に感じて


「クリスマス?バカみたい」


冷めた口調で子供らしからぬ八つ当たりをしてたっけ。


そんなあたしを見て固まる友達。


憎しみにかられ睨みつけ「あんたサンタなんて信じる年じゃないでしょ。自分で買えば」


友達からすればすごく嫌な奴だったと思う…


――そんなもの大嫌い。大嫌いなんだ!


いつの間にか赤が嫌い。


緑が嫌い。


クリスマス柄が大嫌い。


街行く幸せそうな家族が大嫌い。