――手の平だけは、あたしのために。
例えあたしの想いが叶わなかったとしても、その言葉だけで救われた気がした。
「じゃ、行ってくる。結果報告するから、ちゃんと教室で待ってろよー」
「ん、頑張って」
最後の最後は本心で言えた。
ちゃんと笑うことができたと思う。
雄星が出て行ったしんとした教室で、自然と涙が頬を伝って机に落ちて行った。
声を上げることも拭うこともせずに、ぼうっと、さっきまで彼の座っていた椅子を見詰める。
あたしの片想いはいよいよ終わるのだろうか。
やっぱり佳子先輩と雄星には付き合ってほしくないに決まっているけれど、雄星が傷つくのはもっと嫌な気がした。
矛盾している自分の感情がよく分からないまま、何も考えたくなくて雄星を待つ。
しばらくすると教室の扉が勢いよく開いて、その人が笑顔であたしの方へ駆け寄った。
――ああ、そう。よかったね、上手くいったんだね。
あたしの涙は勝手に止まっていて、至極嬉しそうに笑う雄星に合わせて、無理矢理笑顔を作った。