「………あ、おい!」 まだ信号は青にはならなくて、前田は先に歩いていってしまった。 信号、早く変われ。 こんなに強く思ったのはいつ以来か。 「……………………前田!」 信号が変わったと同時に名前を、大声で呼んだ。 早く。アイツに謝らなきゃいけないんだ。 また、走った。 馬鹿みたいにまた、走った。 アイツの姿が消える前に。 手が届くうちに。 「………………っ、」 何回も息が苦しくなったって、走るしかないんだよ。