「…黎陵……!?」






蘭華達が、驚いたように息を飲む。



「黎陵……」

私も、少し聞いたことがある。

誰も、姿を見たことがない。


「正体不明の、伝説の族………」

私の掠れた声に、振り向いた希尋が薄く笑った。

「そ。ま、目の前に2人もいるけどね」

私はポカーンと口を開けた。

え?え!?

「………マジ?」

「うん、マジ」

「で、伝説の人ですか……」

「何かそれは語弊が有るけど。大体、伝説は俺らの1コ上の代だし」

「へ、へぇ………」

いや、それでも充分凄いと思うんだけど。

「礼央は会ったことあるよ」

「え?嘘」

「ホント。ま、そのうちわかるんじゃない」

何それ。

めっちゃ気になるんだけど。

私が希尋を問いただそうとした時。




「………そういう事かよ」



それまで黙っていた蓮が、ギロっと私を睨む。


「お前を信じようと思った俺が馬鹿だった」