ぎゅっと口を閉じて、首を縦にコクコクと。

口開くと、出ちゃうからね。

「ん、」

ん?

希尋が渡してきたのは、半分まで減ったペットボトルの水。

それ、明らかに。

「飲みかけだよね?ひっく」

「そうゆうの、気にするんだ?」

いや、同性ならともかく。

ねえ?

ああ、あれですか。

私はそうゆう風に見られてないという、あれですか。






要するに、女に見られてないと。





「………別に」




別に。

別に、いいんだよ。

だって私も、あんま女の子っぽくないなーて思ってるし?

可愛いとかそう言うの、似合わないって分かってるし。




「なんか、機嫌悪くない?」




「………悪くない」






ちょっとムカっとしたとか。

悲しくなったとか。

そんなこと、思ってないし!





「ふーん、そう」




ま、今日は色々あったしね。

疲れてるのかも。




うん。

そうだ。




この時、希尋に抱いた訳のわからない感情は。

取り敢えず、疲れの所為ってことで。