「それに、俺は」



『それに私は』




『「礼央のその笑顔、好きだよ」』




「…………あ」




耳に残るマコちゃんの声と、希尋の声が重なる。

私の笑顔は。

誰かに好かれてるのだろうか。

嫌われて、いないだろうか。


______『よく笑えるねー!』

______『本当は親友なんて思ってなかったんじゃない?サイテー』



急に、ぽつんと一人ぼっちになったようだった。

ああ、私は1人なんだと。

…………寂しかった。



「………礼央?」




何か、言わなきゃ。

パサついて、上手く動かない口。

それとは反対に、潤っていく目。

それらを振り切るように、私は掠れた声をだす。


「……っ、うん?」


泣いて、希尋に縋り付くほど私は。

弱くない。


違う。

泣いて、弱さを見せれるほど。

私は強くない。


だから、踏み込まれそうになれば拒絶をするし。

距離をとる。

上っ面な笑顔を貼り付けて。

それが、私が私を守る方法だった。



上手く動かない口角を無理やり上げて。

笑顔を浮かべ、希尋を見れば。

希尋が手を伸ばして、私の頬を包んだ。

と。

ムニー。

「いはいんはへほ」

今のは痛いんだけど、って言ったんだからね。

「それが?」

「はなひてほー」

「嫌」

いやいや、嫌じゃないよ。

てか、会話が成立してる時点で凄いと思うけどね⁉︎