「………そうだね。他人に知られるのは怖い。無遠慮に踏み込まれたくない」


でもさ、と希尋は続ける。

「1人で抱えてるのは、苦しい。空気穴がないと、つまって腐る気がする」

「うん………」

知られたくないのに、知って欲しい。

自分でもよくわからない、自分の心。

わかるのは、心も限界がきていて。

ずっと、悲鳴をあげている。

でも、それを隠そうと蓋をして。

くぐもった声が漏れてくる。




苦しい、助けて、誰か_______。





でも、その声は誰にも届かずに。


私の中で、ワオンワオンと音を立て響く。


「凄くさ、勇気のいる事だよ。誰かに話すことは」

「……うん」


私は、心の弱い人間で。

そんな勇気なんか持ってない。

「自分の素を知られて、嫌われないか怖い」

「………っ!」

私の心を読んだかのような希尋の言葉。

「俺も君と同じ。臆病だよ」

何度も真実を話そうとして、口を開き。

声にならず消えていった言葉。

蘭華の仲間にさえ言えなかった、私の過去。

やっと出来た、仲間だったから。

失いたく、なかったから。

「でも、気付いたんだ。と、言うか気付かせてもらった」






「相手に嫌われたくない。それは、自分が相手を心から信用してない証拠だって」






「…………っ」






じっと、私を見つめる希尋。

真っ直ぐで、強い目。






「嫌われないか、ってさ。そうやって表面上だけで付き合われたら、確かに寂しいし悲しい」






寂しい、悲しい。