私が行けば、倉庫には常に笑い声が響いていて。





『あ、礼央サン。遅いっすよ(笑)』

『礼央サーン。ゲームやりましょうよ!』

『こっちすよっ………て、総長!』

『おう』

その声に振り返れば。

優しい、明るい声と笑顔で。


『礼央』



そう呼んでくれた。

あの笑顔が向けられることも、もうない。

もう、ないんだ………。




「…………礼央?」


心に大きな穴が開いていると感じるほどに、あいつらは私にとって、大切な存在だったんだ。


「また、泣きそうな顔してる」

「………してない」


____弱く、なったなぁ。



違う。



私は、弱くなったんじゃない。

元から、私は弱かったんだ。

あいつら、蘭華の仲間に縋って。

強く見せてただけ。


結局は私の弱さで、大切な存在を失っていく。




「礼央は、族が嫌い?」

「好きだよ。大好きだ」



そうだよ。

私はこんなにも好きなのに。

______どうして足が進まないんだろう。





「俺達が、怖い?」

「………っ!」


ビクリと肩が揺れる。

本当は、分かってた。

怖いってこと。

でも、そしたら蘭華の皆んなを否定してるみたいで。

認めたくなかったんだ。

怖いって。