「「「おねえちゃーん!!」」」



小さい子達が、無邪気な笑顔で寄ってくる。

戸惑いながらも、私の口はすっかり緩んでいた。







サボることを選択した私は、希尋に連れられて、児童養護施設に来ていた。

「俺が料理作ってる間に、こいつら見ててくれない」

私は、小さい子達は苦手なのだけど。

無邪気な笑顔を見た瞬間、そんなものは吹き飛んでしまった。

それから、読み聞かせをしたり、鬼ごっこをしたり。

私よりも、体力があるんじゃないかというくらい。

子供達は元気が良かった。

「ちょっと休憩………」

ずっと走り回った私は、地面に腰を下ろす。

その隣に、ちょこんと女の子が座った。

「ねぇ、おねえちゃん」

「んー?」

「おねえちゃんって、きぃ兄のかのじょ?」

「…………ん?」

「だから、おねえちゃんはきぃ兄のかのじょ?」

きぃ兄は希尋のことだ。

てことは、この女の子は私が希尋の彼女なのかを、聞いているってことか。

「……っ、ないない。助けてもらったんだよ」

最近の小さい子はませてるよね。

私なんて、幼稚園の頃は男子と泥だらけになって遊んでたっていうのに。

「きぃ兄はねー、スキなひとがいるんだって」

私は、台所に立つ希尋の背を盗み見る。

希尋の好きな人か……。

俄然気になる!

「きれいでかっこよくて、『ひとめぼれ』したんだって」