まずは私たちの七不思議探検について正直に白状した。隠しきれるわけがないからね。それを聞いただけで鬼婆の眉間のシワが一本増えたけれど、話が終わるまでは静かに聞く気らしい。澄晴は言う事も言わない事も任せてくれるようで黙っていた。

入った時の事は言ったらまずいから適当に誤魔化しつつ、学校を一通り回った事と、それから今まで気になっていた事を確かめに皆から離れ、事件に遭遇した事を話した。あの男か何を言っていたのか、これまでして来た事もされた事も話すと、隣で聞いていた澄晴が今まで見たことも無いような顔をしていたけれど、それは割愛。

それから空き教室にいた子達の事は特に話さなかった。危なかったけれど、誰も怪我はしていないし。あの調子だと遠くないうちに自爆するかバレるだろうからというのと、極力関わりたくない。…手遅れなのは分かってるけれど…。

ここまでは私が話して、私が皆から離れた後のことを澄晴は説明してくれた。

離れた後、しばらく経っても戻ってこないからとトイレにいってみたけれど勿論私は不在。澄晴が私の様子を覚えていて、一度教室まで行った時、中に誰かがいるのが分かり、廊下に私の靴が落ちていたからただ事ではないと思った。
やっぱり、あれは澄晴達だったんだ。そういえば靴落としたままだったっけ。
でもどうしてそのまま引き返したかというと、私を見捨てたわけではなく、一旦どうするか話そうと戻ったんだ。と慌てながら澄晴が釈明していた。

階段下の影になる場所で、自分達だけじゃ対処しきれないから職員室に呼びに行く人、残って様子を見つつ私を助ける人、警察に連絡する人と別れていたんだけど、そこで私が廊下を走っていくのが見えた。
ギョッとして見ると、次には肉だるまみたいな大男が追いかけていくから、いよいよ緊急事態だとなってその後ろを追いかけ、私を連れ出し逃げるまでに至った。と、こういう事らしい。

聞きながら、私が勝手に動いたんだから放って置いてくれて良いのにとか、貴方たちが危ないから気付かれないように我慢したのにとか、やっぱり変な人たちとか、色々可愛くない事を思ってしまったけれど、嬉しいと思ってしまった自分の心に向き合えなくて自分で自分に照れ隠しをしているというおかしな事になっていた。

また涙が出そうだったけれど、鬼婆の前で泣くまいと奥歯を噛んで平静を装った。装うも何も、目が腫れている今の状態からじゃ何を挽回できるはずも無いのだけれど、意地よ、意地。

そして、呼びに行った職員室にいたのが、鬼婆だったと。そうことな訳らしい。