それにすこーしムッとしながらも、
やっぱり怒るっていう行為じたいがめんどくさくって、
息をおもいっっきり吐いて怒りを鎮めた。

「そう」

わざわざ私を助けてくれた訳じゃないと言われたから、
お礼も言わずに背を向けた。

「アッキー!」

後ろから、
澄晴が大きな声で私を呼んだ。

いくら人が少なくなっている放課後だからって…
恥ずかしくないのかしら。はぁ。

そう思いながらも振り返った。
…また大声で恥ずかしい呼び名連呼されても困るし。

「また明日!」

頭の上で手を振る澄晴は、
キラキラした笑顔を浮かべてた。

さっきのといい、この顔といい。
どっちが本当なんだろう…まぁ、関係ないけど。

あんまり笑顔で私に手を振るから…


こっそり、ちっちゃく、
お腹くらいまでだけ手を上げた。




なにやってるの。私…


顔がかあって熱くなって、
私の反応に嬉しそうな顔を見せる澄晴の事も見えずに、
そこから直ぐに、振り返らずに走って逃げた。