「っ、ありがとう」


唇を噛み締めた真は走っていった


「ふふっ、みんな素直じゃないね」


遠くなっていく背中を見つめる


「………お前も素直じゃない」


優羅が切ない目で私を見つめる


「……まだ、桜牙が好きなんだろ?」


優羅は苦しそうな表情をする


こんな顔をさせてるのは私だよね


優羅のほほにそっと手を添える


「私はね紅蓮のみんなが好き。
これはね、桜牙の時よりだよ。
だから、心配しないで。裏切らないから」


私はそっと、微笑んだ


私の思いが伝わるようにと


私の手の上に手を添えた優羅


「その言葉……信じてる」


優羅もそっと微笑んだ


夏の風は、わたし達の横を通り過ぎた