「先生さ、染井さんみたいな生徒初めてだったんだよね」 「どういうことですか?」 「数学嫌いなのに、わざわざ、自分から聞きに来る生徒。今まで言ってなかったんだけど、実は俺感心してたんだよ」 あ、俺っていっちゃダメなんだった 先生が、おどけてみせる。 わたしは窓のほうを向いた。 なんか不意に褒められると 今まで我慢してたものが溢れてしまいそうだから やめてよ、ね、先生。