あんな子、いたかな 彼女のさらさらの黒い髪の毛が風に揺れる。 あの子は、一体なにをしてるんだ? あんなところで、落ちたらどうするんだ? 彼女は転落防止のためのフェンスを通り越してそこに立っていて、下手をすれば落ちてしまう位置にいる 次から次へと疑問は浮かんで、 気がついたら、走り出していた。 友達や、クラスメートが呼び止める声を無視して、真っ直ぐ屋上へ走っていく 込み上げるなにかが、おれを突き動かす。 『走れ』 そういわれているような感覚。 速く、速く走れ