もしかして怒っているのかな、とも思う。
迷子センターまで早川をパシらせたことか。違うかな。
それともこの500円返してほしいのかもしれない。意外とケチだ。私なら奪いとってまでも返してもらうけど。
勝手にフラフラ歩きだした早川の後ろ姿を追うことは出来ずに、足が固まったまま彼の背中を睨みつけていた。
向かった先は出口の方で、もう帰る気なのかもしれないと思い付く。
それはそれでいい。たまには気が利くじゃないの。
……って、頭では思っているのに、本当に思っているのに、何故か黙って付いて行く気にはなれなかった。
私がついてきていないことに気付いていないのか、一度も振り返らない早川はどんどん遠退いて行って、人ごみが彼を隠していく。横切る人たちが視界を遮って行く。
……美織に何か耳打ちされてから、様子がおかしい。
不意に、ずっと先にいた早川が勢いよく振り返って、焦った様子で周りを見回している。
あ、気付いたんだ。遅いよ。
ていうか迷子の子供みたい。
なんだか笑えて思わず吹き出せば、私の存在にやっと気付いた早川が、物凄い勢いでこっちに走ってきた。

