「藤島」
歯切れの悪い早川の反応を訝しく思っていれば、不意に真剣な声に名前を呼ばれた。
このあとはどうするだろう。正直もう疲れた。ぶっちゃけ帰りたい。
「……なに?」
「……フランクフルト、ほんとは300円だったよな?」
「……」
「あとあれ、金払ったの俺だったよな」
「……何よ、なんか文句ある!? 自給200円でベビーシッターしてやったんだからむしろ安すぎるくらいだ!」
チッ、気付いてたのか。
ポッケに在る500円玉を指の腹で撫ぜながら眉を顰める。
そりゃあちょっとくらい得るもん得たって罰は当たらない。そうだよね神様。そうだよそうだわ。
ていうか労働力にはまったく見合わない報酬だったけど。
はした金で我慢してやるって言ってるんだから文句があるなら言えばいい。首絞められる覚悟があるならね。
だけど手首を回す私に反して、早川はフッと息を吐き出すように笑っただけで、まあいっかと呟くとすぐに歩き出した。
なんだ、結局いいんじゃん。
……そしてやっぱり目は合わない。
避けられているのか、こっちを見ない。急に。

