「あ、でもその前に美織に奢ったフランクフルト代、500円返してもらってもいいですか」
「えっ、……あ、すみません……!」
「いや、藤島別にそれくらいいって!」
「いえいえ、娘がご迷惑をおかけしてすみません、本当は何かお礼をさせていただきたいんですけど……」
「それは大丈夫なんで!」
ほら。あんたはそうやってなんでもかんでも断っちゃうんだから、せめてフランクフルト代くらいは請求してあげなくちゃ。
美織にも貰うものは貰うって宣言までしたわけだし。
その母親も余計私たちに気を遣ってしまうだろう。
せっかく高級フレンチでも御馳走してもらえそうな雰囲気なのに。お人好しめ。
内心毒づきながら、慌てて財布を取り出した美織の母親から500円ちょうどを受け取った。
……まあ、早川はそういうやつだから、私もこれだけで我慢してあげようと思う。
特別にね、特別に。私も案外お人好しなのかもしれない。だからほら神様。こんなに優しいフジシマさんに宝くじ3億とか当選させてちょうだいね、なにとぞどうか。
「……それじゃ、これで」
コインをポケットに仕舞い、軽く会釈してその場を立ち去ろうと、早川の腕を引いた。
「あ! ちょっと待ってハヤカワ!」
のに、まだ何か用があるのか、私の掴んでいる腕じゃない方の手を、美織が引っ張る。

