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「ほんっとーに、ありがとうございました……!」
「いえいえ」
戻ってきた早川と一緒に、美織の母親に何度目かわからないけれど、深く頭を下げられる。
愛想よく対応する早川と対称的に、ぶっきらぼうに会釈した私を美織は不満げに見上げてきた。けど無視した。
話を聞くと、美織はケータイで最初に連絡を取ったきり電源を切っていたため、心配した母親たちは遊ぶどころじゃなく必死に園内を探し回っていたらしい。
ちょうど迷子センターに向かおうとしていたところ、あの放送を聞いてここに駆け付けたんだとか。
親の色恋に気を遣ったつもりが、完璧裏目に出たわけだ。
生意気なことしようとするから。子供は子供らしく、親にはバカみたいに堂々としていればよかったのに。
余計なことをしたから、かえって迷惑がかかってんの。私にも。
「もうお礼はいいっすから、これからは家族水入らずで遊んでください」
爽やかな笑顔の早川に、美織の母親はそっと顔を上げると遠慮がちに頷いた。

