偏食系男子のススメ【完】





川端さんだけ責めて、鬱憤晴らして、知らんぷりって、立派ないじめじゃん。


一体何十分、彼女はこの状態で働き詰めてたのだろう。バカじゃないの。


本当にロクな人間がいない。



小走りで駆けて、自然と川端さんの横に立ち、お盆を奪うように受け取った。




「……へ?」


「……どこに運べばいいデスカ」


「え?」




ここにいる奴ら全員、私が川端さんの立場なら怒鳴りつけてる。


どころか蹴り飛ばしてる。一人最低30発は。


ていうか彼女の立場じゃないけど私今、もう足が出そうなのを必死に堪えてる。



こっちを見て目を見開く川端さんは、後ろのボス猿にもようやく気付いたようで、混乱しているのか「え、あ、お」とかずっと言ってた。


赤ん坊じゃないんだから母音ばっか喋るな。



周りの人たちも、私たちの存在に気付いたらしく、コソコソと動揺した声が耳に入って羞恥心をくすぐられる。


もうやだ。このマスク汗臭い。